「蘭学館から出たのは、大砲の3つだけ」の謎。

https://twitter.com/keikuma/status/410632427107647488

2013年12月11日の武雄市議会。
ある市議の一般質問中、不可解なやり取りがあった。
九州国立博物館のトピック展示「江戸のサイエンス−武雄蘭学の軌跡−」について、
蘭学館で展示していたものが国立博物館で展示され説明された、という市議に対し、
市長が「いろいろとはなんでしたっけ?」と質問。

以下、樋渡市長の答弁の一部。(Ustreamより)

 やっぱりこう思いつきと嘘だったんですね。
 あー蘭書関係は一切出ておりません。
 蘭学蘭学館から出たのは、あー大砲の3つだけでございます。
 蘭書、蘭書については一切出ておりません。
 ですので、やっぱりもう何も調べることもなく、
 えーこうやって思いつきのまま、
 いろいろでているっていうことで、
 市民の皆さんたちに、こう見ている方々に誤解を与える表現ていうのが、
 ここでも垣間見れたなと、そのように感じております。
 やっぱりポケットに手を突っ込んでお話しをされる方と、
 うん、かなあというふうに思いますね、はい。


武雄市議会の速記版議事録。該当箇所はP5〜6。
記録中「男女」は「蘭書」の誤り(のはず)。

https://www.city.takeo.lg.jp/info/docs/20131211gi03.pdf

九州国立博物館「江戸のサイエンス」出品目録は下記のとおり。

http://www.kyuhaku.jp/exhibition/images/topic/102/h01.pdf

計74件。
「出品資料は全て武雄市図書館・歴史資料館の所蔵です。」と明記。
かつて佐賀新聞で「非常に貴重なコレクション」として紹介された蘭書も出品されている。

佐賀新聞ニュース 2009.11.07
「鍋島茂義収集 貴重な「武雄の蘭書」展 市立図書館」

http://www.saga-s.co.jp/news/machi-wadai.0.1468100.article.html


で、疑問。

市長発言の「蘭学館から出たのは、あー大砲の3つだけでございます」は、
出品目録の中のどれを指しているんだろうな。
日用百科事典や航海術手引書や化学基礎や歩騎砲三兵戦術あたりは、
蘭書じゃなかったらなんなんだろう。
武雄市重要文化財にも指定されているようだが。

でもって、さらに疑問。
もしかして、市長の中では、「蘭学館=武雄市図書館・歴史資料館」じゃないのか? とか。
蘭学館に常設展示してあったものではなく、収蔵庫から出したものだから、
「収蔵庫=蘭学館」ではなく、「蘭学館から出たのは、大砲の3つだけ」とか……

んな馬鹿なことはなかろうが。


そして、12月12日。
一般質問の最後で、市議が九国の資料を提出、大砲だけではなかったと説明しようとしたが、
議長と与党議員とのやり取りによって、結局議事録には残されないことになった。
市議を嘘つきよばわりして市長が断言した「大砲の3つだけ」については、
その後も、説明や修正はされていない模様。


この一連について、ぜひ読んでいただきたいのが、
サーバ管理者日誌「この議会にして、この市政あり」(2013.12.11)。

http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20131211S1



本日12月14日、武雄市図書館・歴史資料館の「棟方志功展」がオープン。

蘭学・企画展示室とメディアホールを使用し、
肉筆・版画・陶器・本の装丁・写真等の資料類と、見ごたえある展示。
制作する志功の映像も放映されている。
来年1月13日(月)まで。入場無料。

http://www.city.takeo.lg.jp/rekisi/kikaku/kikakuten.html